1. 決算整理仕訳とは?なぜ期末に行うのか
日々の帳簿記録は「お金が動いた瞬間」に記録されます。しかし、そのままでは「当期の正しい収益と費用」が反映されません。
決算整理が必要な理由
- 売れ残った商品(在庫)は、当期の費用(売上原価)から引いて来期へ繰り延べなければならない。
- 建物や備品は使った分だけ価値が下がっているので、価値の減少分を当期の費用として計上しなければならない。
- 家賃や保険料を1年分前払いした場合、来期に属する分は当期の費用から除外しなければならない。
2. 決算整理仕訳の5大頻出パターン完全攻略
① 売上原価の算定(「しーくりくりしー」)
期首の在庫と当期の仕入を合計し、期末の売れ残り(期末商品棚卸高)を引くことで、当期に売れた商品の原価(売上原価)を求めます。
【定番の仕訳型(しー・くり・くり・しー)】
(借)仕 入 〇〇〇 / (貸)繰越商品 〇〇〇 (期首在庫を仕入に足す)
(借)繰越商品 ××× / (貸)仕 入 ××× (期末在庫を仕入から引く)
② 減価償却(定額法・間接法)
建物・車両・備品などの固定資産は、時間の経過や使用によって価値が減少します。その価値減少分を見積もって費用化する手続きです。
- 定額法の計算式:当期減価償却費 = (取得原価 − 残存価額) ÷ 耐用年数
※3級では残存価額はゼロ(0円)で計算するのが基本です。 - 月割計算:期中に取得した場合は、「使用した月数 ÷ 12ヶ月」で月割計算します。
- 間接法(3級の標準):固定資産から直接引かず、「減価償却累計額(負債のような評価勘定)」を貸方に増やします。
(借)減価償却費(費用) 100,000 / (貸)備品減価償却累計額 100,000
③ 貸倒引当金の設定(差額補充法)
期末の売掛金や受取手形などの売上債権に対して、将来回収不能(貸倒れ)になるリスクを見積もり、あらかじめ当期の費用として計上します。
- 設定目標額 = 期末売掛金残高 × 貸倒実績率(例:2%)
- 繰入額(差額補充法) = 設定目標額 − すでに帳簿にある貸倒引当金残高
(借)貸倒引当金繰入(費用) 15,000 / (貸)貸倒引当金 15,000
④ 経過勘定4兄弟(前払・前受・未払・未収)
初学者が最も頭を抱えるのがこの4つです。「費用の繰延べ・見越し」と「収益の繰延べ・見越し」を整理したマトリクス表で覚えましょう。
| 区分 | 勘定科目 | 資産 or 負債 | 意味と決算整理仕訳の型 |
|---|---|---|---|
| 繰延べ (払いすぎ・もらいすぎ) |
前払費用(前払保険料・家賃) | 資産(将来サービスを受ける権利) | 来期分を当期の費用から引く (借)前払費用 / (貸)支払保険料 |
| 前受収益(前受利息・地代) | 負債(将来サービスを提供する義務) | 来期分を当期の収益から引く (借)受取利息 / (貸)前受収益 |
|
| 見越し (後払い・後受け) |
未払費用(未払利息・家賃) | 負債(後でお金を支払う義務) | 当期発生分を費用に足す (借)支払利息 / (貸)未払費用 |
| 未収収益(未収利息・地代) | 資産(後でお金を受け取る権利) | 当期発生分を収益に足す (借)未収収益 / (貸)受取利息 |
【経過勘定の判別テクニック】
「前払」と「未収」は資産(ホームポジションは左・借方)!
「前受」と「未払」は負債(ホームポジションは右・貸方)!
これだけをまず頭に刻み込みましょう。